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2023年5月12日
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お知らせ
地域マイクログリッドとは
2018年9月6日に発生した最大震度7の北海道胆振東部地震では、大規模停電により系統全体の周波数が低下し、北海道内各所に多数ある太陽光発電所や風力発電所は、火力発電所による調整余力が戻るまで再稼働できず、調整力の確保状況と並行して段階的に系統へ接続が行われることになりました。
そうした経験を踏まえ、地域に存在する太陽光や風力などの再生可能エネルギーや未利用熱を一定規模のエリアで面的に利用する分散型エネルギーシステムが構築できれば、大幅な省エネルギー化、エネルギーコストの低減、エネルギーの真の地産地消に加え、非常時のエネルギー源確保にも効果的となります。しかし、そうした電力システムを構築するためには、これまでは一般送配電事業者が所持する系統と区別した独自の送配電ネットワーク(自営線)が必要となり、その自営線敷設に対する高額な導入コストや工事の大規模化が課題でした。このような課題を解決するために、一般電気事業者が持つ系統線等の既存設備を活用することで、電力自営線敷設にかかる導入コストの低減や工事の簡便化を可能にするための実証が、2019年度から2022年度にかけて経済産業省の補助事業で行われました。
地域マイクログリッドとは、平常時は下位系統で潮流を把握、制御し、災害等による大規模停電時には他の系統線から解列し自立的運用を行う新たなエネルギーシステムです。
阿寒町マイクログリッド事業の特徴
2018年9月の北海道内ブラックアウトにより、釧路市阿寒町でも最大3日間の停電が発生し、町内の酪農家でも、乳牛の搾乳機械やバルククーラーが使用できない等の被害を受け、大きな経営的ダメージを被りました。
また、この地域は釧路空港から阿寒港などの観光地へ行く主要道路がありますが、農地への堆肥散布に伴い発生する臭気が観光へのイメージダウンに繋がることが課題となっており、その課題解決に向けて牛糞尿を嫌気性発酵させて利用するメタン発酵バイオガス発電事業への期待が高まっており、メタン発酵後の消化液の液肥効果が高いことも相まって、阿寒農業組合ではNEDO事業等を活用してメタン発酵バイオガス発電事業への知見を蓄積していました。
本事業では、そうした酪農家の非常時電源確保に対する期待、観光産業へのイメージ改善への寄与、またバイオマス産業都市に認定されている釧路市のバイオマス施策への寄与等の点で、地域課題を解決する事業であり、新たな電力システムの構築事業とは一線を画した、地域振興に資する事業となっています。
事業実施エリア
マイクログリッド対象エリア
マイクログリッド供給エリアは、東西約4km、南北約5kmの約20km2、マイクログリッドの配電線長は約17.8km、マイクログリッド供給需要家数は、高圧酪農施設5軒、低圧酪農施設9軒、民家25軒、徹別多目的センター(釧路市指定避難所 収容人数104人)の計40施設です。
マイクログリッド構成設備
マイクログリッドの電源は、太陽光発電160kW、バイオガス発電設備166kW、需給調整用蓄電池272kW(1087kWh)となっており、すべてマイクログリッド内の大規模酪農施設である㈱天翔阿寒の敷地内にあります。
平常時
マイクログリッド内の電力は、一般送配電事業者である北海道電力ネットワーク㈱より電力供給が行われ、マイクログリッド運転は行っておりません。発電設備は㈱天翔阿寒内へオンサイトPPAにより電力供給を行っています。㈱天翔阿寒から供給される牛糞尿を活用し、オンサイトPPA以外にバイオガス発電設備49kWでFITを活用した売電事業も実施しています。
非常時
一般送配電事業者である北海道電力ネットワーク㈱と協議し、基幹系統事故のような大規模停電時にはマイクログリッドを運用します。
マイクログリッド内には高圧需要家が5軒ありますが、それぞれ動力用の非常用ディーゼル発電機を所有しているため、マイクログリッドで供給する電力は、それら高圧需要家5軒の動力以外の電灯用電力、低圧需要家35軒の電力となり、マイクログリッド内の需要電力は最大197kW、2385kWh/日を見込んでいます。マイクログリッド運用中に太陽光発電量が0kWh/日だとしても1.8日間、1日でも快晴なら3.6日間、晴れの日が続けばそれ以上の運用継続が可能となります。
設備配置図
マイクログリッド運用手順
今後のビジョン
株式会社阿寒マイクログリッドでは、地域マイクログリッド事業構築を進めながら、一般送配電事業者との協議によって得られた技術的知見を基に、配電事業の可能性の検討、他地域のマイクログリッド事業への支援を行っていきます。
また、地域マイクログリッド事業で生まれた地域住民とのネットワーク、生活クラブ生活協同組合をはじめとする企業とのネットワークを活かし、農作物の生産販売、関係人口の交流等を通じて、阿寒町の地域振興に資する事業を展開していきます。
会社概要
商号 | 株式会社阿寒マイクログリッド |
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本社 | 〒085-0231 北海道釧路市阿寒町下徹別32線47番地1 |
info@akan-mg.jp | |
設立日 | 2020年(令和2年)9月 |
役員 | 代表取締役 小峯充史 取締役 野村宏 取締役 髙階洋介 監査役 田中義幸 |
資本金 | 1,100万円 |
事業内容 |
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会社設立経緯
2019年5月 | 阿寒農業協同組合が、経済産業省「平成30年度補正予算災害時にも再生可能エネルギーを供給力として稼働可能とするための蓄電池等補助金(地域マイクログリッド構築支援事業のうち、マスタープラン作成事業)」を受託。 |
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2020年1月 | 阿寒農業協同組合が、株式会社エコロミの支援の下、釧路市阿寒町徹別中央地区の酪農家14軒、民家20軒、公共施設1軒を含むエリアを、メタン発酵バイオガス発電、太陽光発電、大型蓄電池で電力需給調整を行う地域マイクログリッド事業のマスタープラン作成。 |
2020年6月 | 阿寒農業協同組合が、経済産業省 令和2年度 地域の系統線を活用したエネルギー面的利用事業費補助金(地域マイクログリッド構築支援事業のうち、地域マイクログリッド構築事業)を受託。 |
2020年9月 | 地域マイクログリッド事業を実施する事業会社として、株式会社阿寒マイクログリッドを設立。 |
2021年6月 | 経済産業省「令和3年度地域共生型再生可能エネルギー等普及促進事業費補助金(地域マイクログリッド構築支援事業のうち、地域マイクログリッド構築事業)」を受託。 |
2021年8月 | マイクログリッド関連設備工事着工。 |
2022年1月 | 釧路市、阿寒農業協同組合、株式会社天翔阿寒、北海道電力ネットワーク株式会社と釧路市阿寒町地域マイクログリッド構築事業コンソーシアム協定書締結。 |
2022年4月 | 経済産業省「令和3年度補正地域共生型再生可能エネルギー等普及促進事業費補助金(地域マイクログリッド構築支援事業のうち、地域マイクログリッド構築事業)」を受託。 |
2022年7月 | 北海道新エネルギー導入加速化基金活用事業「ゼロカーボン・ビレッジ構築支援事業」を受託 |
2023年2月 | マイクログリッド関連設備工事完工。 |
2023年3月 | マイクログリッド運用開始。 |
施設視察のご案内
マイクログリッド、メタン発酵バイオガスプラント、酪農施設について、担当者が説明を交えながらご案内致します。所要時間は1時間30分程度です。
視察をご希望される方は、お問合せフォームより、視察希望日、時間帯、参加人数、視察目的などをお知らせください。メールを確認次第、折返しご連絡差し上げます。
弊社施設がある釧路市阿寒町下徹別は、釧路空港から車で約40分となります。バス、タクシー等の手配は、恐れ入りますが各自でお願い致します。
料金
基本料金10,000円 + 資料代1,000円 × 参加人数
※上記料金に消費税は含まれておりません。※代表取締役 小峯充史による説明をご希望の場合は、誠に恐れ入りますが、東京からの往復飛行機代、宿泊費、レンタカー代等として、別途70,000円(消費税別)を加算させて頂きます。